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読者プレゼントの当選者は、こうやって決めてます

元雑誌編集者としては、ガッカリ脱力なニュースですよ。
読者5名にプレゼント…ウソ 秋田書店を消費者庁処分へ (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

読者からの誌面への感想が書いてある応募ハガキは、編集者にとって
ありがたいものです。
今後の特集の組み方にも影響しますし、読者の反響が大きかったために
復活した連載企画も実際にあります。
当たり前ですが、読者が読みたいと思ってるものを掲載しない編集者なんて
いません。
だから読者の声は重要なんですが、こんな形で裏切るのは大変残念です。



さて、遠い昔、某雑誌編集部に配属された私は読者プレゼントを担当した
ことがありました。

そんなわたくしがやっていた「読者プレゼントの当選者の決め方」を
ちょっくらご紹介ししましょう。


なお、ここで紹介する決め方は出版社の違う、複数の編集部のやり方が
混ざっています。
秋田書店は入っていません。

どの編集部でもほとんど同じ方法ではないかと思いますが、ハガキの保管ルールや
当選者の管理方法といった細部のやり方はそれぞれ違うでしょうから、
そういったこともしてるんだなーという程度で理解していただければ幸いです。

ちなみに応募方法はハガキでの応募がほとんどです。
メール受付は雑誌によってしていたりしなかったりです。

メール受付をしていた雑誌編集部においては、メールでの応募者は
1990年代では10人にも満たなかったですが、2000年に近づくにつれ、
倍以上に増えてきたという印象があります。
インターネットの普及と同じです。

当選者の決定と発送までの手順

1.当選者を決める

応募締め切りに間に合った、たくさんのハガキからランダムに引っこ抜きます。
当たったハガキは発送作業と誌面に名前を掲載するために使うのでいったん手元に。
抽選に漏れたハガキは、編集部で目を通した後に段ボール等に入れて保管しました。
ハガキの保管は年単位だったと思います。
ちなみに、感想が書かれたハガキは編集者が目を通していました。
私が知る限りですが、ハガキを見ない編集者はいませんでした。

なお、メール応募の方の場合もメール1通ずつをプリントアウトして、
そこから当選者を決めていました。
公平さを保つために、メール応募者からは当選者を出したり出さなかったり
してました。これは前述したとおり、メールでの応募者が圧倒的に
少なかったからです。
「メールで応募すると当選確率が高い」という状態にはしないように
してました。

2.当選者を管理する

過去の当選者のリストに、当選者の情報と当選した品物について入力しました。

この入力の前に、今回の当選者に、過去にも当選した人がいないかどうかを
チェックします。
あまりに直近で当選したことがある人が出たら、申し訳ないですが除外して
もういちどハガキを引き抜いてきます。

これは「一度当選したら二度と当選しない」ということではありません。
毎月連続で同じ人に当選が続くということが問題であると考えていました。

データをチェックしていると、過去にも当選したことがある人が、3ヶ月に
1度は必ず出てきました。
まったくランダムに、無心になってハガキを引っこ抜いているというのに
運のいい人って本当にいるんですね。


3.賞品を発送する

賞品は編集部に置いてある場合と、デパートなどの販売店にある場合があります。

メーカーから「読者プレゼントにどうぞ」と無償で賞品を提供して
もらえることもありますし、編集部の予算で購入していることも
あります。

賞品が編集部にある場合は、宅急便や郵便で「当選のお知らせ」のお手紙をつけて
送ります。
小売店の場合は当選者の発送先をお知らせして送ってもらいます。

宅急便の伝票や郵便の書留の控えは編集部で保存します。
発送時のトラブルの対応や発送した証拠として残すためです。

4.当選者名を掲載する

当選者名を誌面に掲載するための原稿を作成し、入稿します。

校正の方に、当選したハガキを原稿突き合わせの資料として添付し、
名前・漢字の違い、県名や当選賞品の表記違いがないかなどを
確認してもらってから入稿しました。


編集部としての仕事はここまでです。

その後、当選者から「プレゼントが届いた」とお手紙をいただくことも
ありました。
ご丁寧にお礼を言っていただけるのは気持ちが良かったですし、嬉しいものでした。

誰の仕業なのか

読者プレゼントの当選者の決定や発送は、たいていバイトや若手社員の
仕事になっていると思います。

当選者名を掲載するページ原稿の作成まではバイトに任せているかも
しれませんが、入稿、初校チェックの責任は社員の編集者になっている
でしょう。

したがって、誰の仕業かと言ったら、バイトか社員なわけです。

1・バイトまたは社員の仕業
  バイトまたは社員が賞品をパクりたいなどの目的で当選者をごまかした。
  賞品、たいてい豪華ですしね。

2・会社ぐるみ(もしくは編集部ぐるみ)

  上記にあるように、賞品は編集部の予算で購入することもあります。
  問題のあった「ミステリーボニータ」のプレゼント内容を見ると
  「デイモイスチャーナノケア」「ニンテンドー3DS」「OZOCの腕時計」など
  だいたい2万から3万円前後の賞品が中心でした。

  これを毎月購入するとなると、10万円近い経費がかかるので
  経費削減のために知っていてやったのかと疑ってしまいます。

で、なんでバレたんだ?

  こうした作業を消費者庁が定期的にチェックするということもないので、
  内部告発なんだろうなと思ったらやっぱりそうでした。

  動機としては経費削減のためにやったそうで、これも想像した通りでした。

消費者庁:読者プレゼント数水増し 秋田書店に措置命令- 毎日jp(毎日新聞)

景品を豪華にする理由

私は読者プレゼントの景品選びも担当していましたが、プレゼント景品が
豪華な高額商品、あるいはよほど際立ったもの(アイデア商品など)でないと
応募ハガキが本当に少なくなります。

だから、自分が選んだプレゼントに対して応募が多いと、ホッとしたものでしたし
少ないと落ち込んでいました。

応募が少ないイコール、フィードバックが得にくい、ということになります。
もちろん雑誌自体の売上にも多少の影響があると考えられます。

前述したとおり、ハガキは編集の参考になるものです。
マンガ雑誌でしたら読者の反響で連載の継続などを決定しているのですから、
ハガキの数が少ないと判断しにくいという事情もあるでしょう。

しかし、メーカーからの賞品の提供が少なくなったのも、昨今の事情から
すれば致し方ないことです。

こっちから強引に「読者プレゼント用の賞品をください」なんて言ったら
広告を入れてもらえなくなるという大弊害が起こり得るので、
メーカーにお願いするときは営業担当も編集者も平身低頭です。

読者からのフィードバックを受ける方法を見直したり、
プレゼント賞品の内容を検討するといったことが必要なはずですが、
そういったことは考えなかったのかなあ……。

この事件をきっかけに、雑誌の読者プレゼントに対する疑念が
沸いてしまうことになりそうですが、ほとんどの雑誌がきちんと当選者を決めて
読者の方にプレゼントしています。

ハガキを送ってくださる方は、懲りずに今後ともよろしくお願いしますと
言いたいです。